子どもにとって心身への負荷が大きい病院での治療。場合によっては治療が長期にわたることもあり、保護者の方にとっての心労も計り知れません。

マニュライフ生命は、子どもの療養環境向上のための活動に継続的に取り組んでおり、2007年から、病気や怪我と向き合う子どもたちの心身の健やかな成長をサポートするための院内プレイルーム「マニュライフわくわくるーむ」の設置などを支援しています。

今回は、2019年8月1日に島根大学医学部附属病院(島根県)にオープンした、全国で16ヵ所目となる国内最大級のわくわくるーむについてご紹介。

マニュライフわくわくるーむについて詳しくはこちら
https://www.manulife.co.jp/kidscare
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わくわくるーむ設置への想いについて、島根大学医学部附属病院の小児科医の竹谷先生と保育士の椿先生に伺いました。長年子どもたちに向き合ってきたお二人が語る、療養環境の大切さとは?

小児科医・竹谷先生が語る、子どもたちへの想い

竹谷健(たけたにたけし)先生
島根大学医学部附属病院・小児科教授
島根医科大学卒業後、島根医科大学附属病院、埼玉県立小児医療センター血液腫瘍科、
東京大学医学部小児科を経て島根大学医学部附属病院へ。
希少難病を専門として、難病と闘う子どもたちと日々向き合っている。


――わくわくるーむが設置された、島根大学医学部附属病院の小児科について教えてください。

小児センターとしては29床、NICUやGCUといった新生児向けには15床有しています。一年をとおして30人前後の子どもたちが入院しています。外来では1日に40〜50人程度の患者さんが診療を受けていますが、いわゆる難病を抱えたお子さんたちが多いです。未熟児だったり、小児がんだったり、生まれつきの心臓の病気で手術を要する子だったり、島根県ではそうした難病の子どもたちが治療を求めて集まる病院として認知されて(または、位置づけられて)いると思います。

――竹谷先生はわくわくるーむの設置に2年前から関わっていらっしゃいますが、そもそも小児科医を志したきっかけは何でしょうか?

実は大きなきっかけというものはないんです(笑)。
なんとなく人と接する仕事をしたいと思って医学部に入って、進路を選択する段階になって救急を選びました。救急は子どもが多いんですよね。本格的に救急をやろうと思って小児科に入りました。僕は小児科の中でも小児がんが専門ですが、小児がんって根治が難しいですし、治るとしても強い治療を要する。苦しむお子さんたちを見たくないと思ったんです。見たくなかったら治さなければならないので、専門的な勉強や研究をしよう、とシンプルな感情で今までやってきました。

これまで複数の病院で研究を続けてきましたが、希少難病と闘っているたくさんのお子さんたちと出会いました。そういった子どもたちって、医者が寄り添わなかったら全くその先がない。病気と闘う子どもたちに真摯に向き合うことが小児科医の責任だと思っています。どちらかというときっかけやモチベーションは後付けで、現場での経験や、患者さんと向き合う中で突き動かされていると言ったほうが正しいかもしれません。

――わくわくるーむの設置については、どんな想いがありましたか?

入院中の子どもたちの養育環境というのは、病室ありきで、空いたスペースをうまく活用するというのが多いと思います。しかし、入院している子どもたちや親御さんたちのことを考えると、病室と同じかそれ以上の環境を用意しないと治療に対するモチベーションも上がらないでしょうし、長い場合は年単位で治療に向かっている子どももいるので、そうした子どもたちの心身の負担を考えると、スタッフ一同「家にいるようなくつろげる環境」を用意したいという願いがあり、今回はそんな想いが成就する形で設置に至りました。マニュライフ生命さんをはじめ、NPOや島根県小児がん基金など、さまざまな方が力をお貸しいただいたこと、本当に感謝しています。

――わくわくるーむの設置を進めるにあたって変わったことはありますか?

医師としてはやはり、「病気を治してなんぼだ」といった気持ちもあったので、療養環境は二の次と考えていた部分が少なからずありました。ですが、わくわくるーむの設置に際して子どもたちと向き合う保育士さんや、医療環境にある子どもや家族に心理社会的支援を提供する専門職であるチャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)さんの姿から、療養環境も医療と同様に重要であることを改めて感じました。

それこそ、これまでのプレイルームのおもちゃは家で余っていたものを持ち寄ることが多かったのですが、わくわくるーむでは部屋の雰囲気に合わせて年齢にあったおもちゃを用意するということで、保育士さんやCLSさんだけでなく、看護師や、我々医師も含めて検討する機会がありましたので、療養環境について考える本当にいいきっかけになったと思います。

保育士・椿先生が語る、わくわくるーむ設置への想い

椿敦美(つばきあつみ)先生
島根大学医学部附属病院・保育士、医療保育専門士
島根大学医学部附属病院で10年間、保育士として日々子どもたちと向き合っている。


――椿先生は島根大学医学部附属病院では長らく保育士として子どもたちと向き合っていらっしゃいますが、わくわくるーむができる前と後で変わったと感じることはありますか?

わくわくるーむができるまでは、1つの部屋に食堂と遊び場が一緒になっていてスペースも限られていたので、小さい赤ちゃんから思春期を迎える子どもたちまで一緒のスペースで過ごさなければならないということがあり、遊び込むことが難しい状況でした。

わくわくるーむでは、スペースが確保できていることや、小さい子たちが集うエリアを全面土足禁止にしたことで、子どもたちがより安全に遊ぶことができています。思春期の子どもたちが過ごすAYAルーム(※1)も設置されたので、小・中学生の子どもたちはそちらで落ち着いて勉強やゲームをしたりすることも可能です。また、全体を見渡すことができる部屋の作りになっているので、親が少し離れたところにいても安心して遊ばせられる環境になりました。

※1 AYAルーム:主に15歳〜30歳前後の思春期・若年成人のAYA世代(Adolescent and Young Adult)の患者さんが過ごすことを目的とした部屋

――日々子どもたちと向き合っていることで気づく変化もありますよね。椿先生が保育士を志したきっかけについて教えてください。

私は幼稚園の頃から「きちんと座っていなさい」とか「ちゃんと言うことを聞きなさい」とか先生にけっこう注意されるタイプでした(笑)。でもその当時、たまたま産休代替で来ていた先生や給食センターのおばちゃんたちには褒めてもらったり、たくさん遊んでもらったりしたことが印象深かったんです。“うまくできない”子の気持ちがわかる人になりたいという想いが強くなって、保育士を志すようになりました。

島根大学附属病院に勤務することになったきっかけは、実は第二子の出産が関わっている部分が大きいんです。切迫流産でどうなるかわからないという状況だった時に、ここの産婦人科の先生が「1%しか希望がないけれど、私にその子の命を預けてくれませんか」と言ってくださって、我が子の命を救ってもらいました。入院中も看護助手さんをはじめいろいろな方に優しくしていただいて、自分はベッドで寝ているばかりでしたが、本当に温かい気持ちになったことを覚えています。その後ちょうど保育士募集の求人があることを知って、自分にもできることがあるならば、と働くことを決意しました。

働いていて感じることは、先生(医師)や看護師さんたちが、遊びの大切さを本当に理解してくれているということ。保育士の存在を大事にしてくれる環境であるということが、島根大学医学部附属病院の良さだと日々実感しています。

――わくわくるーむのオープンまで2年間の準備期間がありました。いろいろな方とのコミュニケーションや、企画に関わってこられたと思いますが、その中で考えが変わったことや、発見はありましたか?

先ほどもお話ししたように、もともとの病棟があまり遊びに特化していなかったことから、わくわくるーむ設置の応募に至っています。こちらが「大学病院」ということもあり、自分たちですべてを動かすのには制約も大きかった。最初は大学病院内でのコミュニケーションがうまくいかないこともありましたが、「子どものために」という想いを丁寧に各所に伝えていくことで、徐々に理解が深まっていったように感じています。子どもたちと直接向き合っている保育士、CLS、医師、そして院内外さまざまな人を巻き込んで、みんなで作り上げたという想いが強いですね。


わくわくるーむが設置されて、さっそく遊び回る子どもたち。実際にわくわくるーむで過ごす子どもたちはどんな想いを抱いているのでしょうか。話を聞かせてくれたのは、入院中の中学1年生・松浦翔(まつうらかける)くん。「AYAルームは漫画も置いてあって、中学生でも高校生でも楽しめるのでいい部屋だと思いました。もう一つのプレイルームはまた全然違う雰囲気だけれど、小さい子たちが楽しめる感じでいいなと思います」「勉強も静かにできていいと思う」と各部屋の雰囲気の違いについて語ってくれました。


サッカーが好きで、学校でも体育が好きと笑顔で語る松浦くん。

松浦くんを始め、病院で過ごす子どもたちをサポートする島根大学医学部附属病院のわくわくるーむは、まだ完成したばかり。今後の活用が期待されます。

マニュライフ生命は、これからも子どもの心身の健やかな成長のために、療養環境の向上を支援していきます。

マニュライフわくわくるーむについて詳しくはこちら
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