治療法は格段の進化を遂げているものの、やっぱり怖い&課題も多い「がん」

がんの治療法は劇的な進化を遂げており、今やがんは「治る病気」へと変わりつつあります。とはいえ、依然として死亡原因の第一位ですし※1、「治療するにあたってどんな方法を選択するのか」、さらに「高額な費用をどうするか」など、課題も少なくありません。また、食事を含めた暮らしの変化が影響しているためか、若い人のがんも増えています。特に「乳がん」や「子宮がん(子宮頚がん・子宮体がん)」など女性特有のがんについて、資料によれば、20代後半~40代の罹患率の増加傾向が目立つようです※2。そのため、中高年の人だけでなく若い世代の人も、がんの治療法をはじめ各種情報について知っておくことの重要性は高まっています。

そこで今回は、もし、自分や家族が「がん」になったら?――そんな万一に備えて、最新の治療法や公的保障など、治療と社会復帰に向け、知っておくべき情報をお届けしましょう。

※1 厚生労働省『人口動態統計(平成29年)』2018年
※2 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(『地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年~2015年)』)


①がんの三大治療法、メリットとデメリット

②先進医療の例

中央社会保険医療協議会「平成29年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」を基に技術料を算出

③自由診療の例

  • 海外で高い効果の出ている新しい抗がん剤治療
  • 認可外の部位や、陽子線、重粒子線など一部の放射線治療
  • 免疫療法(部位などによって一部は先進医療)
  • 増殖するウィルスを使ってがんを治すウィルス療法
  • 高精度のロボットアームに小型の放射線治療装置を搭載し、
    あらゆる方向からがん細胞に集中的に放射線を照射できるサイバーナイフによる治療

…など

「三大治療法」に「先進医療」「自由診療」 がんにまつわる様々な治療法について

がん治療といえば、かつてはほぼ「手術療法」を指しましたが、近年では大きく、手術療法、化学(薬物)療法、放射線療法があり、これらは「がんの三大治療法」と呼ばれています(このうちの2つ以上の治療法を組み合わせる場合もあります)。

三大治療法には各々メリットとデメリットがあり(図表①)、実際にどの治療法を選択するかは、医師が様々な検査を行い、その結果を踏まえた上で、個々の患者に最も適している方法を判断していくことになります。選択の基準は、がんの種類やステージなど進行具合に加えて、患者の年齢や性別、治療環境、患者本人の希望する治療法などを、総合的に考慮して決められます。

また、具体的な治療法については、すでに確立されたもの以外に、新しい方法が次々に登場しています。その中でも特定の大学病院などで研究・開発された新しい治療法や手術内容について、実績を積み重ねて確実なものにすることを目的に「公的保険給付の対象とするか否かについて評価を行うことが必要な療養」として厚生労働大臣に認定されたものを「先進医療」と言います(図表②)。令和元年5月1日現在で94種類あり、全額自己負担となります。ただし、先進医療以外の診察、検査、投薬、入院の費用は保険診療となります※3。なお、先進医療はその内容により特定の医療機関のみで認定されていますので、同じ治療方法でも医療機関によって先進医療とならない場合もあります。

さらに、厚生労働省が承認していない治療法や薬を使用する「自由診療」もあります(上記③)。海外などで効果が確認されている新たな治療法や化学療法などの最先端治療については、日本では認可が出るまで時間がかかるケースも多いことから、自由診療を選択する人もいます。ただし、治療費をはじめ診察、検査、投薬、入院など含めて全額自己負担となります。

なお、「治療法や選択肢が多い分、かえってどれを選べばよいかわからない」という方や、「医師の診断や治療法を再確認したい」、「違う治療法を探りたい」という方にも、ぜひセカンドオピニオンの活用をおすすめします。主治医と全く同意見という場合もあるかもしれませんが、それは主治医の診療の確かさの裏付けとして、ひとつの大きな安心材料になるはず。いずれにせよ、複数の意見を聞くことは大切です。

この他、費用の問題も大きく、特に先進医療や自由診療を選ぶと非常に高額な費用がかかります。また、がんは進行度合いを示す「ステージ」によっても、かかる治療費が大きく異なるため、早期発見が鍵となります。

※3 保険外の新しい治療法と保険診療との併用については、患者の申出を基に審査・許認可を行う「患者申出療養制度」も2016年4月スタート。

覚えておけばきっと役立つ 治療費負担軽減を支える公的保障

気になる治療費については、その負担を軽減できる公的保障もいくつか用意されています。必ずしもそのすべてを利用できるというわけではない点や、申請に非常に時間がかかるものもありますが、ぜひ覚えておいてください。

医療費控除
年間にかかった医療費が一定額を超えると一部所得税が軽減されます。病院の領収証は必ず保管しておきましょう。

高額療養費制度
ひと月にかかった医療費が一定額を超えた分について払い戻される制度です。

傷病手当金
病気やケガで会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます(国民健康保険加入者には支給されないので注意! サラリーマンや公務員など健康保険加入者が対象です)。

障害年金
国の定めた障害等級に該当すると年金が受けられ、がんも症状等により対象となる場合があります。加入する公的年金(国民年金・厚生年金)によって基準や給付額が異なります。申請には、やや手間と時間がかかります。

介護休業給付金
家族を介護するために休業を取得したことで、給与が支給されなかったり減額されたりした場合に受給できる雇用保険の給付です。会社の理解が必要です。

治療法の進化に合わせて、ますます充実 万一に備えた「がん保険」の検討も

最後に、がん治療の頼もしい味方として忘れてならない「がん保険」についても、ご紹介しておきましょう。

近年の治療法に合わせて、がん保険も様々に進化しており、「診断一時金」や「通院給付金」の充実、再発に備えた保障、がんのステージ別によって手厚く保障されるもの、その他、保険契約に付随して健康相談やセカンドオピニオン紹介サービスがセットされているものなど、特徴も千差万別です。

がん対策は、何といっても「早期発見・早期治療」が大切ですが、保険もやはり早期の備えが肝心。一生涯のうち、男性の62%、女性の47%ががんと診断されるとも言われています※4。決して他人事ではないということを、しっかりと心に刻んでおきましょう。

※4 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(『最新がん統計 がんに罹患する確率~累積罹患リスク(2014年データに基づく)』)

 

執筆者
森田 直子 (もりた・なおこ) Naoko Morita
保険ジャーナリスト。㈲エヌワンエージェンシー代表取締役。保険専門の執筆家で実績多数。庶民的な文体に定評がある。

※本コラムは筆者の個人的な見解であり、また、特定の商品を推奨するものではありません。保険商品のご加入や見直しにあたっては、保険商品の内容を十二分にご理解いただき、ご検討ください。

 

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