知っているようで意外に知らない家計に関する言葉のあれこれ

「年収」「所得(可処分所得)」「資産(純資産)」……これらの言葉を見聞きする機会は少なくないと思いますが、その意味を正しく理解していない方もまた意外に多いようです。

まず「年収」とは、1~12月の1年間の収入の総額を指します。サラリーマンの場合は源泉徴収票の「支払金額」の項に記載されている額、個人事業主の場合は確定申告書の「収入金額等」に記入する額が、それぞれ年収に当たります。ただし、個人事業主の場合は「年商」と呼ぶのが一般的です。

次に「所得」とは、年収(年商)から必要経費を差し引いた額のこと。そしてこの所得から、税金(所得税・住民税等)や社会保険料を差し引き、実際に手元に残った額が「可処分所得」となります。いわゆる「手取り」であり、日々の生活水準はこの金額の多寡によって、大きく左右されます。

ちなみに、年収も年商も1年間の収入の総額という点では同じですが、実態は大きく異なる可能性があります。それは、個人事業主の場合、原材料の仕入れ代やテナントの賃料等、事業を行う上で各種経費がかかるためです。例えばサラリーマンで年収1,000万円といえば一般的に高額所得者ですが、個人事業主で年商1,000万円といっても、経費が800万円かかっていれば所得は200万円しかありません。もちろん、手取りはさらに少なくなります。

最後に「資産」ですが、一般的には「その家の家計に属する、金銭・土地・建物・証券等の経済的価値の総称」を指します。そしてこの資産から負債の総額を差し引いた額が「純資産」です。仮に1億円の資産を持っていても、それ以上の負債があれば当然、純資産はマイナスということになります。

大切なのは「可処分所得」と「純資産」 家計をより強固&盤石なものにするために

こうして言葉の意味をひと通り理解すると、これらのうち家計にとって本当に重要なものはどれか、おわかりいただけるでしょう。

例えば年収500万円のサラリーマンと年商3,000万円の個人事業主を比べた場合、個人事業主の必要経費が2,700万円であれば、サラリーマンより生活は厳しいかもしれません。また、資産が2億円ある人でも、負債が同じく2億円あれば、純資産はゼロであり、豊かな生活を送れる保証はありません。結局、「年収(年商)」や「資産」といった言葉は、いわば「うわべ」に過ぎません。本当に重要なのは「可処分所得」と「純資産」であり、この両者を増やすことが、家計をより強固で盤石なものにする上で不可欠ということになります。さて、そのためには、どうしたら良いのでしょう?

具体的には、❶収入を増やす、❷税金や社会保険料の負担を抑える、❸支出を抑える、❹資産の増加効率を高めるといったことが挙げられます(下表参照)。もちろん実際にどのような手段を講じるかは各ご家庭の事情次第。最適な手段を見極めることが重要です。ちなみに、住宅ローンの繰り上げ返済や早期退職等は、可処分所得や純資産の減少をもたらす可能性もあり、必ずしも有効な手段とは限らないのでご注意ください。

なお、「可処分所得が300万円、純資産が1,500万円」の場合と「可処分所得が1,500万円、純資産が300万円」の場合とでは、将来の生活の安全度は前者の方が高いと私は考えます。可処分所得は今後もずっと同額でもらい続けられる保証はありません。であればこそ、蓄えたお金の多寡が重要になるのだということです。

とは言え、純資産は急に増やせるものではありません(可処分所得も同様ですが……)。まずはご自身、あるいはご家庭の収入と支出、年間の貯蓄を確認し、その上で、純資産がいくらあるかも確認してみてください。その際、当然ですが、純資産は時価で算出することが大切です。例えば100万円で購入した株式がその時点で90万円であれば、90万円の価値として計算するということです。

この確認を最低年1回程度継続して行っていくことで、純資産が本当に増えているのかどうかを知ることができます。仮に1年での増加額はわずかでも、10年継続できれば、ある程度まとまった金額になるはずです。これまで「家計」というと、収入と支出の管理に重点が置かれていましたが、純資産の管理にも気を配り、毎年増加していることが確認できれば、将来や老後への安心にも繋がることでしょう。

可処分所得と純資産を増やす手段


※筆者作成

 

執筆者
団野 修 (だんの・おさむ)Osamu Danno
ライフコンパス代表。ラジオ出演、講演の他、年間500回以上の 20代~70代の家計相談を実施。