書家として、国内外で活躍する前田鎌利(かまり)さん。現在は全国15箇所で書道塾を開くなど、「書」の魅力を多くの人に伝える活動をしています。

1歳の頃に実の父が亡くなり、祖父母に育てられた前田さん。大正生まれの両親は、文字の読み書きができず、苦労して育ってきた経験を子どもにさせたくないと、5歳から書道教室に通わせます。前田さんはそこで書の楽しさを知り、小中高と地元の福井県で書を習い続けました。その後、上京し東京学芸大学の書道科に進みます。

そんな彼が大学4年生の時に、阪神・淡路大震災が起こりました。当時、携帯電話がほとんど普及していなかった時代。明日にでも何かまた災害が起こるかもしれないのに連絡を取ることができない。そんな状況に対してできることをしたいと、書ではなく通信系企業に就職。実績を重ねていきました。

そんな折に起きたのが2011年3月11日の東日本大震災。本来、自分が取り組んでいきたいと考えていた書ともう一度向き合うことになります。そして未来につなげていく、残していくことができるものを、という思いから書家として独立する道を選択しました。

「幼い頃にご飯を食べるのも忘れるくらいに打ち込んでいたものって、きっと大人になっても好きなもの。今、僕が書をやっているのも、結局好きだったからだと思うんです」と軽やかな表情で語る前田さんの“Life 2.0”とは?