自分の老後は自分で守る時代へ!? 公的年金制度の現状とこれから

日本は世界一の長寿国であり、今後も高齢化が進むことになります。将来、私達の老後の生活保障はどうなるのか、漠然とした不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
内閣府発表の『平成29年版 高齢社会白書』によると、現在の高齢者人口(65歳以上の人口)は約27.3%。老後の家計を支える公的年金制度は「給付する年金の原資を現役世代で支える」という仕組みになっていますから、つまり現役世代(15〜64歳)2.2人で1人の高齢者を支えていることになります。
さらに平成77年には、高齢者の比率が38.4%に達すると予測しており、1.3人の現役世代で1人の高齢者の生活を支える時代が来るとしています。その時の現役世代の負担は非常に大きなものとなり、現実問題として、受け取る年金が下がる可能性はとても高くなります。
ですから、老後の生活を公的年金制度だけに頼るのではなく、早いうちから、自分自身で自分の老後を守るための対策を取ることが大切です。いざ老後を迎えた時、この対策を取ってきた人とそうでない人の差は非常に大きなものとなるでしょう。そこで今回は、老後の資産形成のために必要となる情報や考え方をご紹介したいと思います。

 

老後のための資産形成には欠かせない「分散投資」という考え方

資産形成の基本としてまず考えるべきは、「リスクの分散」です。ひとつの商品/方法だけに頼らず、複数の商品/方法に分けて資産形成を行うことで、万一、どれかひとつが上手く行かなくても、リスクを軽減する効果があります。このことについては既にご存知の方も多いことでしょうが、ひと口にリスクの分散と言っても、実は2種類に分けられます。それが①「資産の分散」と
②「時間の分散」という概念です。
①資産の分散
資産の分散とは、先に述べたように、「投資する商品を複数に分ける」という考え方です。例えば定期預金や株式、債券、保険商品など複数に分けて投資することもそうですし、国内商品(円)だけでなく、国外商品(外貨)に分散する方法もあります。日本ではゼロ金利政策がとられて久しいですし、今や超低金利時代を迎えています。一方、諸外国に目を向けると、日本よりも有利な金利の国も複数あります(下参照)。

時間の分散とは、「毎月(あるいは毎年。※以下、毎月の場合で説明)に分け、時間をかけて少しずつ積み立てて資産形成を行う」という考え方を指します。投資のタイミングを自分で分析して調べたり、頻繁に手続きを行うことに費やされる時間の損失や、「あの時買っておけばよかった……」などと後悔するようなメンタル面でのロスこそ、資産形成においては最大のリスクとなります。つまり、「上がった・下がった」と一喜一憂せず、毎月コツコツと根気よく積み立てていく方が、リスクが分散されて最終的には利益を得やすくなる――これが、「時間の分散」ということなのです。

 

“お得”なのは、どっち? 「時間の分散」の2つの方法

「時間の分散」について、もう少し掘り下げてみましょう。時間を分散し、毎月積み立てながら投資していく方法にも、2通りのやり方があります。(A)「定量購入方式」と(B)「定額購入方式(ドルコスト平均法)」です。

 

(A)定量購入方式:定期的に同じ口数を購入する方法

例えば「毎月10株ずつ買っていく」とか、「毎月20株ずつ買っていく」という方法がこれに当たります。投資対象の価格は随時変動しますから、それに合わせて毎月の投資金額も上下することになります。

(B)定額購入方式:定期的に同じ金額を購入する方法(ドルコスト平均法)

「毎月1万円」「毎月5万円」など、決まった額を投資していく方法です。(A)の定量購入方式と異なり、投資金額は一定ですが、その時の価格に応じて、購入する投資対象の口数が変動することになります。

 

(A)と(B)を比べた場合、下の表をご覧いただければおわかりのように、(B)の定額購入方式(ドルコスト平均法)の方が、より堅実でリスクが低く、その分“お得”だと言えます。
上では株式を購入する場合を例にしましたが、外貨積立の場合も同様です。「毎月同じ額の外貨分(例:100ドル)ずつ積み立てる」なら定量購入方式、「毎月同じ額の日本円(例:1万円)で買える分を積み立てる」ならドルコスト平均法ということになります。未来を見据え、長期にわたって積み立てるなら、やはり後者の方が最終的にはお得になる可能性が高くなります。外貨商品を選ぶ際には、参考にしてください。

 

将来のために覚えておきたい 外貨建保険の魅力と注意点

外貨で積み立てをしながら資産形成していく商品には、外貨預金、FX、外貨建MMF(投資信託)、外貨建保険などがあります。中でも「外貨建保険」は、保険商品ということもあり、所得税が軽減できる制度(生命保険料控除制度)を活用できたり、万一の時には遺族に相続税の控除があるなど、他の金融商品にはないメリットがあります。また、保険という長期商品の特長も重なり、長期間かけて老後の資産形成をするには、相応しい商品のひとつだと言えるでしょう。
もちろん、外貨建保険には終身保険をはじめ、養老保険や個人年金などの種類があり、投資先の外貨も米ドル、豪ドル、ユーロなどいくつかの種類があります。さらに、毎月同額の外貨を積み立てる外貨建て方式と、毎月同じ円単位で保険料を積み立てる方式(ドルコスト平均法)の2種類があります。
ただし外貨建保険は、満期や解約時など換金する際、その時点での為替レートの影響を受けることになります。例えば円高の時に満期金や解約返戻金を円換算で受け取ると、損失になる場合もあります。したがって、市場の変動を見ながら受取時期を調整することや、そういった調整が可能な商品を選ぶことも大切です。また保険商品の場合、早期解約をすると解約返戻金が支払額を下回る場合もあります。無理のない予算で、10年以上など長期的な積立を続ける手段として活用するといいでしょう。

 

執筆者
森田 直子 (もりた・なおこ) Naoko Morita
保険ジャーナリスト。㈲エヌワンエージェンシー代表取締役。保険専門の執筆家で実績多数。庶民的な文体に定評がある。